臨床心理士試験にうかってしまった。
表題のとおり,平成20年度に実施された臨床心理士の試験に合格した。
自慢になるかならないか微妙であるが,一切勉強していない。
というのも,今年の当ブログをご覧になればわかると思うが,4月に学校現場に復帰してからというものの,多忙を極めており,勉強する余裕なんて全く無かったのであった。
しかし,今年受験しないとなると,永遠に受験しないような気がしたので,今年はそれこそ記念受験のつもりで受けてみた。
2008年10月18日。
前日は所属校の授業研究会で,担当の私はキレていた。
詳細は記さないが・・・。とにかく,激怒して帰宅したのは書いておこう。
120%ひやかし受験ではあるものの,一応前夜は早寝をしたので頭だけは冴えている。
有明のビッグサイトに到着するが,別のブースではネイル検定が実施されていて,派手めのメイクをなさったお姉さまたちが,女子トイレで行列をこさえていたのを記憶している。
会場に入ると,ビッグサイトのだだっ広い空間に折りたたみ式の長机がだーっと並んでいて,それぞれにパイプ椅子が2個ずつついている。
座ってみると,膝が机にぶつかる。
私のような巨体を有する者としては過酷な環境になることは容易に想像できた。
近年の臨床心理士試験は事例問題が増えている。
理由を私なりに想像してみると,次のとおりである。
平成18年度から指定大学院修了者以外の受験資格が無いので(医師,海外の大学院修了者を除く),基礎的な心理学の知識を確認するのに問題数を費やす必要が無いと判断したのかもしれない。
つまり,平成18年度以前の受験者は学部卒が受験することもできたくらいなので,基本的な心理学の知識をどれくらい持っているか,確認する必要があったのだろう。
しかし,平成19年度以降の受験者は,指定大学院を受験する段階で,入学試験という形で基礎心理学および臨床心理学をはじめとする応用心理学の知識の有無を試されているのである。
しかも,財務省は文部科学省に対して,学校臨床心理士(スクールカウンセラー,SC)への予算を減らした。これは,SC事業が不登校対策として必ずしも効果的でないと判断し,スクールソーシャルワーカーなどの方へ予算を付け替えたことによる。
臨床心理士認定協会は即戦力および力量の高い臨床心理士の輩出が急務なのである。
だから,心理学の知識が高いだけの頭でっかちな学者のような臨床心理士ではなく,現場のニーズに応え得る実務家を送り出さなければならない。
ひやかし受験の私にも若干の作戦があった。
それは過去問を見ると事例問題が後半に固まっていて,前半には基礎的な知識を問う問題が散らばっている。基礎的な知識に自信が無い私は,前半に時間を費やしてしまう危険性が高い。本当に時間を費やさなければならない後半の事例問題に時間が割けないのは愚かなので,一番後ろの問100から逆に解いていくことにした。
しかし,実際にやってみると,問題の意味がわからない。
それもそのはずで,事例問題が4問で一つの大問になっていて,問96ぐらいに臨床像などの説明があるのに,問100の問題文しか読んでいなかったので,意味が通じなかったのである。
これには苦笑しながら,「ああ,そういうことか」と理解して,問96から徐に読み始めたのであった。
臨床心理士を取り巻く現状としては先に記したことが関係しているのか,学校臨床といわれる学校の事例が多かった。
大学院で主に病院臨床をやってきた人にとっては「あれ~?」みたいな感じなんだろうなぁとひやかし受験の私は思った。
さて,半分の問題50が終わったとき,「あれ,ここまでほとんど正解のような気がする」という錯覚?(本当かもしれない)を起こす。これ,ひょっとするとうかっちゃうぞと思い始めた。
そして,残りの半分に取りかかるが,案の定半分くらいしかわからない。
わからなかったら記号「e」を塗ると決めていたので,わからない問題の解答はすべて「e」とマークした。
私の武器は事例問題と統計なので,統計問題は心が躍った。
逆にウイーク・ポイントは片口式のロールシャッハ(エクスナー法しかやっていない)と脳波関係である。
ロールシャッハは1問出ていたが,臨床像を読んで,それっぽい答えを塗った。
「解答時間はぎりぎりになる」と聞いていたが,15分ほどあまってボーっとする。
だいたい最初に選んだ解答があっているものなので,見直しもせず首を回したり,肩をゴキゴキならして,時間まで待った。
結局,事例問題は後半という予想は大きく覆され,全般にわたって出題されていた。
それで,先に述べたような想像をしたのである。
午後の論述試験のテーマは,家族面接についての留意点だったように思うが,あまり覚えていない。
しかし,大学院へ在学中は家族療法を中心に学んでいたので,「ラッキー!」と思った。下書きもせずに書きまくった。
隣のおばさんが消しゴムをやたら使って,長机がキコキコ揺れたので若干イラついた。
1次試験の結果は10月末のぎりぎりに来た。
うかっているつもりのない私は,封筒が薄っぺらいのを見て落胆した。やっぱりな・・・。
中を開けると,なぜか2次試験の案内が書かれている。
用紙の上の方へさかのぼっていくと,「合格」と書かれている。
期待していなかったので,事態を理解するまでに時間がかかった。
2次試験は見事に学会発表の日にちと重なってしまって,大学院の指導教員やその他の先生,後輩達に笑われた。
学会のポスター発表は14時で,2次試験は13時である。場所が近かったので,何とかなりそうだった。
朝の10時に某学会大会の会場に来てポスターを貼り,20分ほどはなれた2次試験の会場である東京国際フォーラムへ到着した。
ここでも他のブースで就職説明会か何かが開催されていて,似合わないスーツを着てカッコつけている若造がうろちょろしている。
どこで試験が行われているのか,なかなかわからなかった。
10分前に控え室へ行くと,10人前後の受験生が2列に並んだ長いテーブルに散らばって座っている。
時間が来ると,一人ひとり「○○先生」と呼ばれる。受験者は「先生」と呼ばれるのに新鮮さを感じるそうだが,私は普段から「先生」と呼ばれているので,いいか悪いかは別として動揺することはなかった。
控え室で名前を呼ばれてから,吹き抜けのような廊下を抜け,非常階段のようなところを抜け,木目の落ち着いた壁に囲まれた静かな空間に出た。
受付のようなところで待たされるが,ほんの1,2分で面接室に案内された。
聞かれたことは,①試験勉強のこと,②現在のSVについて,③今,持っているケース,④なぜ教師なのに臨床心理士の資格が必要なのか,⑤これからどのような活動をおこなって行くのか,などであったように記憶している。
教師に対しては圧迫面接である,と聞いていたが,そのようなことはまったくといっていいほど無く,ていねいに質問された。
手ごたえは???であったが,1次試験の成績と,論述のでき次第だろうな,と思った。
しかし,そんな感慨に浸っている間もなく,14時からの発表に備えた。
こっちの方は悲しいほど観客が来ずに,指導教員と後輩達と談笑して在席時間が過ぎた。
2次試験の結果が来たのは12月19日であった。
嫁さんから,「臨床心理の結果が来たよ」というメールが来たので,更衣室から自宅へ電話して開封してもらうように頼んだ。
すると,「合格だよ」という弾んだ声。
信じられないので,合格通知を写メで送ってもらって,やっと落ち着く。
う,うかってしまった。
宝くじにでもあたったような感情がこみ上げてきた。
私の高校生の時からの夢はこんな感じでかなってしまったのだが,これを一つの通過点として子どもや保護者の援助に邁進したいと思った。
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